BROTHER’S-K(ラーメン)川名 祐輔さん【Uターン】
2021年3月、南房総市青木の「道の駅とみうら枇杷倶楽部」横のコンテナハウス内にハンバーガー店が誕生しました。地元和牛を使ったハンバーガーは評判を呼びインターネットでも高評価を得ていました。ところが、数ヶ月後にハンバー店から家系ラーメン店に業態変更。今回は業態変更の理由についてうかがってみました。
【道の駅とみうら枇杷倶楽部内の店舗】
■ご出身と経歴を教えてください。
生まれも育ちも南房総市高崎です。地元の高校を卒業してから熱海、東京、館山の和食店と東京の洋食店で修行しました。
コロナの流行を機に実家の民宿に戻り調理を担当していたところ、とみうらマートで飲食店を募集していることを知り応募しました。ところが締め切りに間に合わず、同時募集していたコンテナ店に応募して2021年3月にこのお店を開業しました。
■どうして調理の道へ進もうと思ったのでしょうか。
実家は岩井で民宿を経営しており、私は長男なので民宿を継ぐことに決めていました。ただ、最初から家を継ぐよりは、外へ出て調理の幅を広げたいと考え、和食を8年、洋食を3年経験しました。
【実家の民宿かわな館 音楽ホール・体育館・BBQログハウス付きの大型民宿】
■開業までの準備はどのようにされましたか。
お店は居ぬきのコンテナであるため、改装などの準備にはそれほど時間はかからず、調理に必要な器具を買い揃えたくらいです。当初の予定とは違ってコンテナでの開業となりましたが、開業資金が予定より少なく済んだ分、食材にお金をかけてコストパフォーマンスの高い店にしようと考えました。
調理場の広さを考えると定食などを出すのは難しく、ハンバーガー店としてスタートすることにしました。
洋食の調理経験もあり、ラーメンやハンバーガーも好きだったので、ハンバーガー店で開業することに違和感はありませんでした。
開業準備として、ハンバーガー店やパン屋の食べ歩きをしながら、パンと肉、ソースとの相性を考え試作を重ねました。今は便利な時代でレシピはインターネットで調べることができます。ただし食材を選ぶ段階ではコンピューターで決めることはできないので食べ歩きと試作を繰り返しました。
■途中ハンバーガー店からラーメン店に変更されましたが、どうしてでしょう。
開業時点は、和牛ハンバーガー店として口コミである程度の評価をいただいており順調にスタートしました。
【地元の和牛を使ったハンバーガー】
ところが、開業してからしばらくして牛肉の仕入値が急激に高騰してしまったのです。
販売価格を上げようか、肉の質を変えようか色々と検討しましが、牛肉の価格は全体的に上昇しており見通しが立ちません。
このような状況もあり、思い切ってハンバーガーを休止し、ラーメンを出すことにしました。大きな路線変更となりましたが、元々ラーメン好きでラーメン店でスタートしようかとも思っていたので早い時点で決断することができました。
既に営業を始めてしまっているので、休業して修行に出ている余裕はありません。
ハンバーガーの時と同様、レシピなどはインターネットで調べ、食べ歩きと試作を繰り返し納得のいく味にしていきました。
食べ歩きを繰り返すうち、南房総には家系のラーメンを出すお店がないことに気が付き、南房総初の家系ラーメン店とすることに決めました。
当初昼はハンバーガー、夜はラーメンを出し、2ヵ月ほどして完全にラーメンに切り替えました。
スープは豚骨や鶏を4~5時間煮込み、仕上げに自家製の鶏油(鶏の皮を炒めて抽出した油)を使用、麺はコシの強い木更津の文明軒から仕入れています。独学ではありますが、調理経験は10年以上あるので自分の思い描いている味に仕上げることができました。
ハンバーガーについては完全に諦めた訳ではありません。牛肉の価格が落ち着いたら、再検討したいと思います。
2022年7月夏に向けて新メニューを出すことにしました。「冷し担々麺」と「和牛ステーキサンド(1日限定10食)」です。
■川名さんが考える南房総の魅力とは
調理する側からすれば、海産物、農産物などの食材が豊富で新鮮かつリーズナブルなのが一番の魅力です。実家では米や野菜を作っており、実家の米は甘味があり粘り気が少なくおいしいと感じます。市場で仕入れなくても野菜などの食材が自分で調達できます。
■これから南房総で起業する方に向けてアドバイスなどがあればお願いします。
現状、飲食業界はコロナ渦や食材の高騰などで大変厳しい状況におかれています。
これは初めて飲食店を経営しようと思っている方に向けてです。
飲食業は食材費、人件費、光熱費、家賃など経費の割合が多い業種です。
起業する前に原価計算や人件費などの経営面もしっかりと検討することをおすすめします。
私は、長くお店を続けるには価格と味のバランス(コストパフォーマンス)が大切だと思っています。
■これからやってみたいことがあれば教えてください
将来は実家の民宿を継ぐ予定ですが、それまでに少し広いお店に移って色々な料理を出してみたいと思っています。
南房総の豊富な食材を使って、食の麺で南房総を盛り上げていきたいと思います。
【メニュー(2022年7月)】
南房総初の家系ラーメンは豚骨塩と豚骨醤油の2種類
※平日はライス無料
※学割(大学生以下)は1杯500円
【店名】BROTHER’S-K
【所在地】〒299-2416 千葉県南房総市富浦町青木100−1
【電話】090-2449-8532
【ホームページ】BROTHER’S-K
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