TOP > 新しい働き方 > awasome木村綾子さん

awasome木村綾子さん

南房総の青い空を見てUターンを決意。
野菜作りとカフェ仕事の日々

 

【畑で収穫した野菜を手にする木村さん】

 

南房総市白浜町で生まれ育った木村綾子さんは、18歳まで白浜で過ごし、大学進学を機に上京しました。「絶対地元に帰らない」と思っていた彼女が、南房総へ帰ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか? 週末はカフェで契約社員として働き、畑へと通う日々。「会社のせいにしたくない」という、木村さん流働き方についてお話をうかがいました。

 

「絶対地元に帰らない」が「やっぱり地元いいな」に変わったとき

地元に帰る気はなかったという木村さんですが、大学卒業後は有機農業の研修を受けるために高知へ向かい、1年過ごしました。「帰る気はなかったけど、農をする気はあった」と言う木村さん。研修終了後は、千葉県東金市の農家で社員として働き、その後印西市や青森県の農家でも働きました。

 

ごちそうナスと白丸ナス

【“ごちそうなす”と“白丸茄子”を収穫中】

 

中学生のときに食べものに関わる仕事がしたいと思い、大学の栄養科に進学。在学中に、日本の“食”について不安を覚え、食べものを作れる人になりたいと思ったそうです。「この先食料不足になると思った。自分の食べるものぐらい作れないと」と当時を振り返って話す木村さん。

 

縁あって青森県の内陸で働いたとき、木村さんはその空の色に衝撃を受けました。「毎日が曇りで、ねずみ色の空だった」と言います。もちろん、青森にだって青空の日もあるはずですが、青空が印象的な南房総で育った彼女にとって、ねずみ色の空の印象がとても強かったようです。木村さんはもんもんとしながら、年末年始を過ごすため南房総に帰りました。そのとき青い空が迎えてくれて、確信したと言います。「ねずみ色の空はもう無理」と。

 

南房総の景色

【木村さんが生まれ育った、青空と青い海が見渡せる“ふる里”の景色】

 

安房(あわ)×何か

南房総地域は昔、安房国(あわのくに)だったこともあり、安房と呼ばれることがあります。安房と何かでおもしろいことをやりたいという思いを込めて、木村さんは「awasome(あわさむ)」という名前で野菜の販売を始めました。

 

発送される野菜たち

【野菜の説明を記載した用紙とともに発送される野菜たち】

 

「自分のために作るのは楽しくないし、せっかくなら売りたい」と思っていた木村さんは、農薬を使わずに育てた野菜を安房地域にあるレストランやカフェに少しずつ卸し始めました。木村さんが野菜作りを始めたときは、既に新型コロナウイルスの影響が出ているときでした。休業する店も多い中、営業を再開するというレストランのSNS投稿を見て、ズッキーニの花を収穫して「タダでいいから使ってください」と持参したそうです。すると、「実がついたら買わせてください」と言われ、今でもお付き合いが続いているのだとか。

 

カフェでオーダーを聞く木村さん

【カフェでオーダーを聞く木村さん】

 

週末働いているカフェとの出会いもまた、SNS投稿での人材募集でした。「野菜を使ってもらえるかも!?」と思い、連絡を取ったことがきっかけでイート・イン・スペースのメインスタッフとして働くことになりました。

 

“何か”は、野菜販売だけではありません。年末かがみ餅を作るのを目標に、仲間と田んぼをしています。「生産者と子どもたちをつなぐトークイベント」で、話をすることもあります。農や自然、食に触れるための農業体験や収穫体験も行いたいと考えています。木村さんにとっての「安房×何か」は、今後も無限に広がり、そして実現していくでしょう。

 

融通がきく働き方

テキパキ仕事をこなす木村さんの元には、人手が足りなくて困っている農家さんから声がかかります。春はカーネーションの芽かき、夏はライスセンターでお米の袋詰め、秋は作物の植え付けなど、自分の畑以外に農家さんでの仕事もこなす、地元の季節労働者でもあるのです。

 

木村さんが仕事を選ぶときの確認事項は、「融通がきくか否か」です。雨だと自分の畑作業ができないので、「雨だったら行きます」もハウスで作業をする農家さんでは問題なし。週末カフェの仕事も、「融通ききます」と書いてあったのが魅力の一つでした。

 

畑の野菜たちにたっぷりと水をあげる

【畑の野菜たちにたっぷりと水をあげる】

 

一日の作業は、8時ごろ畑へ向かうところから始まります。通常は朝に収穫作業を行いますが、週末はカフェ仕事の帰りに収穫。取材をしたのは梅雨が明けた7月で、雨が降らない日が続いていたので、朝夕の2回、水やりも行っていました。収穫してから発送作業、もしくは取引しているお店へ配達。その後、秋冬野菜の準備で畑を耕したり、マルチシートを張ったり草刈りしたり。18時には作業を終えて帰宅しますが、植え付けの時期などはもっと忙しくなるそうです。

 

これから、南房総市で新しい働き方にチャレンジしたいと思っている人にアドバイス

「一つのことにこだわらずに、何でもかんでもやってみるのが田舎暮らしに合っている。一つに頼るとそこがこけると困るし。好きなことをやっていればいい。お金が必要ならバイトはいっぱいある」

 

思いをまっすぐに伝えてくれた木村さんは、他県で過ごした経験があったからこそ、地元の良さがわかったと言います。「どこででも生きていけると思ってた。実際に生きていけるけど、住んでいたい場所とはまた違う」そう話す木村さん。

 

南房総の景色

【木村さんが住んでいたいと思う、南房総の景色】

 

「南房総は都内や横浜の友達に会おうと思えばアクセスしやすく、困らない立地。逆に友達が来てくれることもある」と木村さんが言う通り、双方にとって行き来しやすい場所です。そんな安房・南房総で、あなた流の働き方にトライしてみませんか?

 

インスタグラム:https://www.instagram.com/awasome3736050/