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南房総市での新しい働き方

株式会社オンザファーム代表取締役 渡辺幸司さん

農業での起業を実現。新しいことに挑戦し続ける若き地元出身者

 
南房総市富浦町のカーネーション農家で育ち、明治大学法学部を卒業後、ベンチャー企業へ就職した渡辺幸司さん。Uターンして株式会社オンザファームを設立するまでの経緯と、今後の目標についてお話を伺いました。
 
収穫した野菜の袋詰めをする渡辺さん

【収穫した野菜の袋詰めをする渡辺さん】

 

法学部の学生が農業での起業を目指した3つの理由

渡辺さんが起業願望を持つようになった一つ目の理由は、ITバブルで起業家たちが世間を騒がせている様子を目にした高校生のころ、新しいことにチャレンジしている起業家たちに感銘を受けたから。
 
二つ目の理由は何でしょうか?
 
「大学在学中、中国のハンセン病の隔離村でワークキャンプを行う団体に所属して活動していました。ワークキャンプでは長期休みの度に2週間ほど滞在し、村人と学生が衣食住をともにしながら、水道、トイレ、道の舗装などのインフラ整備をする活動を行っていました。そこでの村人の生活は貧しいので、売るためではなく自分たちが食べるためのリアルに生きていくための農業をしていました。かたや、自分の親は専業農家として自分を大学まで行かせてくれたことを考えると、立場や場所を超えて世界中どこにでも通じる、農業という仕事の素晴らしさに改めて気付いたのです」
 
日当たりの良いニンニク畑

【日当たりの良いニンニク畑】

 
そして三つ目は「たまたま農家の家に生まれたことです。農業界は新規での参入が難しいこともありますし、幼いころから農業に触れてきたので、これも運命かなと思いました」と3つの理由について話してくれました。
 

ベンチャー企業に就職。そこで身に付けたものは?

大学生のときに農業をやろうと決めた渡辺さん。まずは社会人としての経験を積むために、マンションの給水管を新しい技術で洗浄する環境ベンチャー企業に就職しました。農業とは全く無縁の仕事に思えますが、この仕事で得たものはあったのでしょうか?
 
「営業先が無数にある業界ではなく、日本で400社しかないマンション管理会社に向けての営業でした。各社ごとに特徴を調べてどうやったら契約してくれるのか、しっかりと戦略を練ることが必要な営業です。野菜を取り扱うお客様も、八百屋、スーパー、飲食店、ホテルなどある程度限られてきます。無数にあるわけではないので、そこを狙って落とすという意味でとても勉強になりました」
 
勤務予定はホワイトボードで確認

【勤務予定はホワイトボードで確認】

 
農業とは全く業種が違っていても「やりがいを持って働ける会社でないと人は根付かないこと」や「会社の存在意義やあり方」などを社会人経験で学べたといいます。
 

実家が農家という強み

農業はどこで学んだのでしょうか?
 
「2011年4月から、関西にある農業生産法人で働きながら有機農業を2年学び、自分でも畑を借りて野菜を販売していました。その後、生産法人が野菜の生産を止めることになり、お客さんを自分が引き継ぎました。もともとは2年で地元の南房総に帰るつもりでしたが、東日本大震災の影響で東日本での放射能問題もあり、オーガニックの野菜を求めるお客さんたちからは関西に残ってほしいと言われていたので、関西でずっとやっていくことも考えていました。規模を拡大するために新たな農地を正式な形で借りようとしましたが、いろいろな理由で1件も決まらず、関西で規模を拡大していくことが難しいと感じるようになっていました」
 
南房総で正式に借りている農地

【南房総で正式に借りている農地】

 
4年後、地元の南房総で農業をやることに決めた渡辺さん。実家には余っている農地があり、高齢で農業を辞める親戚からも農地を使ってほしいという話があったのだとか。
 

農は窓口。ここからどんどん広げていきたい

「農業界は市場やJAなどに卸すのがまだまだ一般的ですが、うちは自分達で営業をして、お客さんが欲しい商品を常に考えながら栽培しています」
 
そう話す渡辺さんは畑のローテーションを考え、なるべく端境期(はざかいき)ができないように100種類以上の野菜を育て、首都圏の八百屋や飲食店、個人宅配、全国展開の直売所などいろいろな販売チャンネルに出荷しています。多くの品種を栽培して様々な出荷先を持っていることがリスクヘッジにもつながっているのです。
 
袋詰め作業をする社員たち

【袋詰め作業をする社員たち】

 
近い将来の目標について「農に触れる人が増えるように、農業アカデミーを作りたい」と話す渡辺さん。「農業を学べる場所は敷居が高いところが多いので、農業に興味がある人たちが気軽に学べるような場所を作れたらいいなと思います。専業の農業をやりたい人はもちろん、家庭菜園をやっている人達がもう少し詳しく学べるようなイメージです」
 
さらに農業生産法人として畑を拡大し、果樹もやりたい。加工品作りや八百屋もやっていきたいと、目を輝かせながら話してくれました。
 

これから、南房総市で新しい働き方にチャレンジしたいと思っている人にアドバイス

「農業は、農地の取得や台風、自然災害などで自分の力だけではどうにもならないことがたくさんあります。それでもめげないこと。開き直りじゃないけど、思いつめないこと。しょうがないなと受け流して、次に進むことが大切です。野菜、花き、果樹、酪農、養鶏など農業といっても様々な世界があるので、自分が本当に何をやりたいのかをまず明確にしてから、ぜひ挑戦してほしいです!」
 
エンドウマメを育てている畑

【エンドウマメを育てている畑】

 
関連サイト
ON THE FARM
https://www.on-the-farm.jp/